M&Aの場において、買う側からしても売る側からしても、労務に関する監査=労務DDの実施は不可欠です。
会計的な数字は決算書を見れば、売り上げから原価、利益などもわかるので、よほど粉飾されていない限り、労務に比べれば数字がわかりやすい世界です。
一方でM&Aにおける労務分野の問題点とは何でしょうか?
大きく分けるとこういった内容が問題になり得ます。
特に③については、会計と異なり、目下数字となって何かに明確に記されているというものは、賃金台帳(未払い残業)くらいなものです。
昨今では、未払い残業だけではなく、ハラスメント、長時間労働による健康被害など将来簿外債務に発展する可能性のある原因は様々です。
当事務所では未払い残業代のように具体的な数字の算出はもちろん、潜在的労務リスクを独自に算出したある程度客観性を持たせた係数に乗せて数値化し、労務的リスクを概算金額に換算して報告書を作成していきます。
これにより会計面だけなく、労務面の簿外債務のリスク値を把握したうえでの適正な売買価格に寄与します。
このことは冒頭にもお伝えしたとおり、譲渡側・譲受側双方において非常に大事なことになります。特に譲受側からすると、このあたりを杜撰に勘定して譲受したことにより、譲受後に問題が発覚し、その精算・解決に数千万円の費用がかかってしまったというような事態に陥ることもあります。
一方、譲渡側にしてみても労務面をクリアにしておくことで、より企業価値を高めることができ、広く譲受側に会社の価値を評価してもらえることに直結してきます。
✔️ 譲受側
簿外債務の概算も把握しておくことで、将来のリスクに対して対策を講じられ、また買収額も実態に沿った適正価格で交渉できる。
✔️ 譲渡側
正しい現状を踏まえ、必要に応じて社内整備を事前におこなっておくで、労務面の万全さをPRでき、より良い企業価値を提案することができる。
当社では、IPO対策だけではなく、M&Aの実施を検討の企業にも労務の監査の実施を強く推奨しております。
適正でフェアな交渉に臨むためにも一度、M&Aに関する労務DDの実施をご検討してみてはいかがでしょうか?