労務デューデリジェンス(労務DD)とは、人事労務領域においておこなわれるデューデリジェンスのことです。
一般的にデューデリジェンスとは、M&AやIPO、事業承継などといった際に、企業の監査として行われます。
その種類はいくつかあり、主に
✔️ 財務
✔️ 税務
✔️ 法務
✔️ ビジネス
✔️ 労務
となります。以前は、デューデリジェンスといえば、「財務」「税務」などの財務状況を正しく把握するために行われるものや、「法務」では法令が正しく順守されているかを検証するものが一般的でした。
しかし、最近では「労務」に関するウェイトが以前にも増して高くなっているとみなさんもお気づきではないでしょうか?
長時間労働による過重労働、またサービス残業による残業手当の未払問題、労使トラブルなど、従業員の人事労務に関する問題が、M&AやIPOなどに、大きな影響を及ぼすものとして着目されるようになりました。
特に上場準備をされるとその重要性を外部(証券会社や監査法人、その他ステークスホルダー)から指摘を受けて初めて気づくということもよくあることです。
また、従業員の規模に関わらず、労働問題全般が社会問題としてネットニュースでも際立つようになり、「ブラック企業」という言葉もいまでは社会的に定着してしまいました。
労務問題と一言で言ってもさまざまな問題が上がります。
未払い残業代の有無
過労・心労の問題
有給取得・有給消化
の管理
育児・介護休業
の取得
不当解雇、会社都合
退職の潜在リスク
パワハラ・セクハラ
の潜在リスク
これらの問題は、経営者側からすると気づけていない面も多くあると思います。実際に問題が表面化してから相談を受けるケースのほうが圧倒的に多いのが現状です。
ただ、問題が起きてからの場合、以下のような事態が想定されます。
未払い残業代の精算で数千万円の支払いが生じてしまった⇒従業員10名前後の会社でも1千万円以上の未払い残業代の支払い命令が出ることは十分にあり得ます
過労・心労が原因でうつ病になり、賠償請求されてしまった
有給の付与・管理がずさんで退社時にまとめて請求されてしまった
解雇したつもりはないのに不当解雇で訴えられてしまった
問題が発生し、風評被害で売り上げ減少、採用活動が困難に陥ってしまった
こうなってしまいますと大概がすでに手遅れなのです。
労務問題は全般的に言えることなのですが、こうならないためにも事前に自社の潜在リスクを洗い出し 「対策を講じる」ということが一番のリスクヘッジとなります。くどいようですが、問題が起きてからでは対策は講じられません。
当事務所では、労務DDを大きく以下のような手順で実施し、IPO時の労務の監査対策、企業の健全化を提案致します。
当事務所より質問事項のリストを共有=御社の労務に関する基本的事項を確認させて頂きます。
監査に必要な各種資料をご提供頂きます。
(例:就業規則、36協定など)
労務リスクに関するチェックシートを作成します。
この際に綿密なヒアリング、場合によっては従業員へのインタビューなどを実施し、御社の労務ウィークポイント、或いは適正化されている内容を洗い出します。
監査に関する報告書の作成、報告会の実施を行い、改善案を提示します。
労務リスクチェックリストに基づき、労務ウィークポイントの洗い出しを実施し、改善策の提案と改善案の実施。
※労務リスクのチェックリスト=当事務所で独自作成した考えられる労務リスクのチェックリスト
労務DDを実施することで・・・
社内の労務内製化を図りやすくなる
気づかなかった問題点をあぶりだしやすくなる。
将来のリスクを事前想定しやすくなる。
未払い残業代の発生を未然に防ぐことができる。
ホワイト企業であることを社内外にPRできる。
上場・非上場関係なく、労務問題は会社の経営の根幹を揺らがしかねません。
労務問題が顕在化していない今のうちにリスクの洗い出しと対策を考えてみませんか?
特に未払い残業代の精算などが0円で済む会社は寧ろ珍しく、多くの企業様が多少なりとも過去の未払い残業代の精算を行います。これは賃金請求権が今後5年になることを考えると、N-2期から検討するのでは正直遅いのです。
上場を視野に入れるのであれば、もっと早い時期に外部の労務監査をお受けすることを強くお勧めします。
また「労務DD」・「労務の監査」と聞くとIPO時ばかりが取り沙汰されますが、本来、労務DDで確認する内容というのは、企業にとって法的にクリアすべき基本的事項でもあります。上場準備に関係なく、外部専門家の労務に関する監査を受けることで会社内の労務内製化を図れたり、気づかなかった問題点が浮き彫りになったりとメリットは様々。
また、外部専門家の監査を受けたこと自体が、求職者に対する「当社はホワイト企業である」という大きなPR材料にもなり得ます。
こういった世の中だからこそ、企業内の労務・労働環境がしっかりコンプラ遵守されているということが、学生や求職者の企業選びの重要ポイントになっていることは間違いないですし、既存社員に対しても「労務・労働環境の改革の心持ち」を大々的にアピールできるのではないでしょうか?
労務に関しては、直接賃金に影響する部分であり、働く側からすると「この部分の安心感=会社への安心感・信頼感」に直結する部分になります。上場準備に関係なく、能動的にそのアクションを起こすことで「確固たる意思」を示し、従業員と本当に一体化された組織力ある事業戦略を展開する・・・微力ながら我々がその一助を担えれば幸いです。
※ 人数に応じて変動します。
※ 御希望に応じて、通常の労務DD報告書の他、改善実施に関する証明書も発行できます(全国社会保険労務士会「経営労務診断」制度に基づくものの他、弊社独自のIPO基準の労務DD実施の証)
※ 労務DD実施と併せて経営労務診断を実施する場合や改善コンサルを実施する場合には、基本料金にそれぞれ費用がその他かかります。